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2017年9月29日金曜日

奈良絵の銘々皿*

ならまちの南のはずれ、紀寺草小路町の「gallery 艸小路」さん。
奈良の伝統工芸品や、奈良で活躍する作り手の作品など「奈良にこだわった」名品が揃ったギャラリーと、ひそかなファンも多いところ。
その「奈良にこだわった名品」の一つとして、この度、奈良絵が描かれた干菓子器銘々皿がオリジナル商品として取り扱いされることになりました。
「奈良絵」とは・・・
銘々皿に添えられた一文があります。
世に「奈良絵」と称せられる物は室町末から江戸前期にかけて作られた『御伽草子』などに見られる絵のことで、その名称から奈良の絵仏師の作だと言われてきたが、結局「奈良絵本」というのは明治中頃の命名らしい。
大正期から昭和初年にかけて、新興の奈良絵が奈良の土産物として登場し、ずいぶん洒落た物であった事から人気を博した。その内容は一筆描きで鹿や神官、お姫さんやら風景を、小ざっぱりと描いてある。五枚程度を一袋として頒ち、軸に仕立ててもよし、小屏風に押したり、額に入れたりして愛玩したものである。
これを創案した人は奈良人形師の谷沢是楽で、左近を名乗って筆を執ったが、左近没後その絵は惜しまれつつも時流に没してしまった。
一時この絵を興したいと念願し、扇や茶碗に写して愉しんだが、左近の絵を更に発展創意することは出来なかった。ところが近年 寺岡由美という人を得て新たに、奈良絵を発展させる事が出来た。左近の筆意を汲んで自由に遊んで下さることを渇望する次第である。
再びの奈良絵の門出を祝いたいと思う。    宇賀志屋文庫主人
奈良絵といえば、奈良の名産でもある赤膚焼きに描かれた独特の作風の図柄を「奈良絵」というのだと思っていたのですが、元々は御伽草子など絵草子に描かれた絵のことで、そういう名称は明治になってからとは存じませんでした。
宇賀志屋文庫主人こと岡本彰夫先生が寄せられた文章でまた一つ教えていただき、奈良絵に深く興味を持つことができました。
大正から昭和初期に人気を博した谷沢左近が描く奈良絵の筆意を汲んで創意発展させた、新しい現代の「奈良絵」。
モチーフの一つ、鹿の絵柄がどれも可愛くて、つい何枚か買ってしまいました。奈良のお土産としても喜んでいただけることでしょう。
さて「gallery 艸小路」さんといえば、店内に生けてあるお花がどれも素敵で、花材の取り合わせも好みだなぁと常々思っていたのですが、縁あってオーナーさんより山村御流のお花の手ほどきを受け始めました。
上の写真は、8月のお稽古の時のお花です。(器は赤膚焼)

「gallery 艸小路」
展示作品や営業日のご案内はフェイスブックページをご覧下さい。
住所:奈良市紀寺町912
電話:0742-93-8878
営業日:木・金・土曜日(時々、臨時休業あり)
営業時間:11:00〜17:00
駐車場:有り(3台)