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2014年10月15日水曜日

10/18「近代の名建築 奈良少年刑務所」トークショー開催


奈良市般若寺町の丘の上に佇む重厚な赤煉瓦建築、奈良少年刑務所。
明治41年(1908)に奈良監獄として完成以来、百年以上、現役の刑務所として使われつづけています。

明治日本がその志を世界に誇示するために建設した壮麗な「明治五大監獄」のうち、千葉・金沢・長崎・鹿児島では、一部を除きほぼすべてが解体されて消滅。奈良のみが、その全貌を残しています。
今も生きている美しい建物であり、近代国家として名乗りを上げた日本の歩みの記念碑でもあります。

この奈良少年刑務所の建物と歴史を後世に伝えようと、地元自治会長や建築家・研究者・宗教者・作家らの呼びかけで「奈良少年刑務所を宝に思う会」が結成され、奈良監獄設計者の孫でジャズピアニストの山下洋輔さんが会長に就任しました。
10/18には設立イベントとして、、奈良市鼓阪小学校の講堂で「近代の名建築 奈良少年刑務所」トークショーが開催されます。
「近代の名建築 奈良少年刑務所」トークショー
日時:10月18日(土) 14:00~15:30
場所:鼓阪つざか小学校 講堂(転害門東側)
参加費:無料
申込み:不要
主催:近代の名建築 奈良少年刑務所を宝に思う会
問合せ:070-5024-9428(ならまち通信社・松永)


当日のプログラムは・・・
・山下洋輔さんや地元自治会の方ほか、奈良少年刑務所に愛着を持ち、保存を願う人たちが登壇してのリレートーク。
・奈良少年刑務所の外観・内部の写真のスライドショー。
・「くも ~『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』より~」石田世里子さんの歌と菊地朋美さんの朗読。
などが予定されています。
トークショーのあとは、「近代の名建築 奈良少年刑務所を宝に思う会」の設立総会。
その後、手貝町自治会会所で懇親会。(参加費千円)

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こちら↓は毎日新聞の記事の写真です。(ブログ掲載は会より許可を得ています)
空から見ると、放射状に伸びた美しい建物の全体がよくわかります。

また、こちら↑は、写真家・上條道夫さん撮影の奈良少年刑務所の中央監視台からのようす、ちょうど放射状の要のところですね。

以下は、10/15付け毎日新聞朝刊・奈良版に掲載の寮美千子さん「ならまち暮らし」の記事より。

明治期の日本は、西欧社会に肩を並べようと必死だった。ちょんまげを切り、洋服を着たが、監獄は、江戸期と変わらぬ「牢獄」のままだった。格子の上に屋根が載っただけの事実上の吹きっさらし。キリギリスを入れるかごに似ているので「ギス監」と呼ばれていた。「これでは受刑者の人権が確保できない」との諸外国の主張により、「領事裁判権」を取られてしまった。明らかな不平等条約だ。それを撤回するために、明治政府が国の威信をかけて作ったのが、明治五大監獄だった。
そのために、過剰に豪華に作られた。軒には「ロンバルディア様式」という装飾が見られるが、表側だけではなく、監房のある裏側にもくまなく付けられている。内部も美しく、中央監視塔など、まるで教会の聖堂だ。
今夏、町の懇親会で刑務所のお膝元の自治会の方々と出会い、刑務所の話になった。みな、あの建物が大好きだという。刑務所というと、ふつう嫌われがちなのに、美しい煉瓦造りのため、町の誇りなのだ。「明治五大監獄で残っているのは奈良だけなのに、重要文化財指定もついていません。いつ壊されてしまうかと心配です」とのこと。それなら、みんなで重要文化財指定を求める署名をはじめましょう、ということになった。

地域の、そして日本の「お宝」としての奈良少年刑務所の美と歴史を
後世に残していかなければと思います。