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2012年11月30日金曜日

春日若宮「おん祭」について

12月の奈良といえば・・・ 春日若宮「おん祭」
『12月のお出かけ情報②〜寺社伝統行事』でも
諸神事のタイムスケジュールをご案内しましたが
昨年に偶然目にした「装束賜式しょうぞくたばりしき」「薦こも上げ式」のことなど、もう少し追加情報を記載したいと思います++

でもその前に・・・さらっと
「おん祭」の起源と歴史などをおさらいしておきましょう。

春日大社の摂社である若宮の神様は水徳の神と仰がれる天押雲根命様。
平安時代末期。長年にわたる大雨洪水により飢饉が相次ぎ、天下に疫病が蔓延したことから、時の関白藤原忠通公が万民救済のため若宮の御霊威にすがり、丁重なる祭礼を奉仕したのが、おん祭の始まりとされています。御霊験はあらたかで長雨洪水も治まり晴天が続いたので、以後、天下泰平・五穀豊穣・万民安楽を願って大和一国を挙げて盛大に執り行われ、長い歴史の中で一度として途切れることなく、今年で877回目を迎えます。

さて、追加情報ですが
◆12/1 13:00「装束賜式しょうぞくたばりしき
「装束賜式」とはおん祭の「お渡り式」で稚児や神子などを務める子供達に衣装などを手渡す儀式のことで、「装束賜式」で衣装を受け取った後、この衣装に着替えて、若宮神社へ社参をされるのですが、昨年は偶然にもこの帰りの道中に遭遇したのでした。
(「装束賜式」が13:00からですので若宮社への社参はその後になります。)
先頭は「頭屋児とうやのちご」の2人。
興福寺の名代として行列を検分する重要な役を担うそうで
不浄とされる地面に触れないように神職が肩車をして参拝します。

◆12/15 10:00少し前頃「一の鳥居に御神木かけ」
おん祭の期間一の鳥居にはご神木のナギがかけられます。

◆12/15   10:30 「椎木の薦上げ式 大宿所出発」
餅飯殿センター街にある「大宿所」を、薦をつくった大和郡山市椎木町の方たちが10:30に出発して、神様がお遷りになられる「お旅所」まで担いで奉納されることを「椎木の薦上げ式しぎのこもあげしき」と呼んでいます。昨年は、ちょうどお旅所に着かれたところを目にしたのでした。
ちなみに今年の「おん祭」の冊子の特集は『椎木の薦上げ』のこと。
かなり詳しく説明されていますのでよかったらご覧下さい。
神様にお坐りいただく薦は夏の暑い時から大変な作業を経て調進されることがよくわかり、華やかな「お渡り式」や厳かな「遷幸の儀」「還幸の儀」などの中心神事だけでない、「おん祭」を支える人たちの「おん祭」を大切に思う気持ちによって、平安時代から今に受け継がれている神事なのだと、改めてその歴史の重みに想いを馳せるのでした。

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何度も繰り返して書いていますが・・・++
「おん祭」諸神事のタイムスケジュール 印が過去記事です)

◇12/15(餅飯殿センター街 大宿所)
13:00  大宿所詣
14:30  御湯立
16:30  〃
18:00  〃
17:00  大宿所祭

◇12/16(春日大社若宮神社)
14:00頃 大和士宵宮詣
15:00頃 田楽座宵宮詣
16:00  宵宮祭

◇12/17(お旅所・参道)
0:00  遷幸の儀
1:00  暁祭(お旅所)
9:00  本殿祭(春日大社)
10:00  田楽奉納(初宮神社)
12:00  お渡り式出発 
12:50~13:50 南大門交名の儀
13:00~14:30 松の下式
13:00~ 競馬
14:30~ 稚児流鏑馬
15:30~22:30 お旅所祭神楽・東遊・田楽・細男・猿楽・舞楽・和舞など神遊
23:00  還幸の儀 

◇12/18
13:00 奉納相撲(お旅所前)
14:00 後宴能(お旅所)

おん祭についてのブログ内記事はこちら。→
春日大社のおん祭についてのサイトはこちら。→

2012年11月29日木曜日

名残の紅葉*

深まりゆく秋とともに木々の彩りも名残の季節を迎えつつあります。
あともう少しで12月という晩秋の一日。
錦秋の美しさを随分楽しませてもらった奈良公園へ
週末のお客様へのご案内がてら紅葉巡りをしてきました。

まだまだ綺麗だなぁと思った所は
東大寺大仏殿裏・僧房跡の北側あたりの紅葉です。
ここは奈良倶楽部から徒歩5分くらいの所なので
朝のお散歩に是非立ち寄ってみて下さい。
朱色と山吹色のツートンカラーの葉を持つ珍しいモミジの木。
大仏殿を背景に何枚も撮ってしまいたくなります。
まだ紅葉していないモミジもあるのでもう少し楽しめそうですよ。

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吉城川沿いの紅葉も見事でした。
こちらへは徒歩25分くらい、東大寺南大門の少し先にあります。
 川面も一面ほんのり紅く染まって・・・。



黄色に色づくモミジもあって、とても綺麗ですね。
お天気がもう少し良かったら
そして写真の腕前がもう少し良かったら・・・と思うのですが。

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帰りには、つい3日前に見て、とっても綺麗だった東塔跡へ。
こちらは大仏殿の東南方向
奈良倶楽部から徒歩20分くらいの所にあります。
ここはまだまだ綺麗。落葉している木々もあるのですが
雑木林全体が黄色や赤色の絨毯で本当に綺麗です。
奈良マラソン10kmランナーはこのコースを走るのですね。
12/9までこの美しさが残っていたらいいですね。

東大寺界隈ばかりですが、朝のお散歩コースに見て回れるような所の
紅葉のまだ美しいところをアップしています。
今週末ご宿泊のお客様の参考にしていただければ嬉しいです。
お尋ねいただければ紅葉ポイントの詳細をご案内させていただきます。
よろしくお願いします。

正倉院*「正倉整備工事・第3回現場公開」


昨年より4年に及ぶ工事期間中、正倉院外構の一般公開は休止されていますが、2013年3月に修理過程の様子の第3回目の見学会が決まり、詳細の発表が宮内庁よりありました。
3回目の今回は、屋根瓦をおろした工事途中の正倉の様子を間近で見学できます。(見学は無料です)

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宮内庁HPより*第3回現場公開の見学について

公開日:2013年3/15(金)・3/16(土)・3/17(日)
見学時間:9時・10時・11時・12時・13時・14時・15時
定員:各240人
申込み方法:往復ハガキで
※申込みの詳細はHPを参照して下さい。
申込み期間:11/29より12/28の消印有効
申込みの郵送先:602-8799 日本郵便西陣支店留め
                          正倉現場公開係

第1回現場公開の見学に参加したブログ内過去記事はこちらです★ 

2012年11月28日水曜日

12月のお出かけ情報③〜イベントのご案内

12月の奈良といえば「鹿寄せ」と「奈良マラソン」
もうすっかり冬の風物詩になりましたね。
そして県内各地で光のイルミネーションも始まります。
きーんと冷えきった冬の奈良の空気もまた清々しく気持ちいいですよ。
12月の奈良へ、どうぞ温かくしてお出かけ下さい。

◇12/1~12/14 毎朝9:30から約15分ほど「鹿寄せ」
※12/9の鹿寄せは「奈良マラソン」のため行われません。

場所:奈良公園飛火野(春日大社参道南側)
ホルンの音色でどこからともなく集まってくる鹿たち。
奈良でしか見ることのできないのどかな光景を楽しみながら、
朝の散歩はいかがでしょうか。
郷土料理の茶粥のご用意もあります。
奈良の朝をたっぷりお楽しみください。
茶粥ふるまい:春日大社参道 (無料)
☆例年通り、2012年2/1~3/17の期間中も「鹿寄せ」は開催されます。
※こちらは10:00より。また毎週月曜日は開催されず
茶粥の接待もありません

◇12/3より平日の13:00~16:00「鹿苑の一般公開」開始
鹿がけがや妊娠したり、農作物に被害を与えたりした場合に
保護・収容している「鹿苑ろくえん」の一般公開。
これまで非公開でしたが見学用通路を整備して
鹿のお見舞いがOKに。入場料代わりにえさ代として100円必要。

◇12/1〜1/13 17:00~22:00 天理市「光の祭典」
場所:天理駅前広場
問合せ:天理市商工会(0743-62-1945)

◇12/1〜1/31 17:00~23:00「イルミネーションINかしはら」
問合せ:0744-28-4400

◇12/9〜12/25 17:00~21:00 奈良基督教会
「ひがしむき光のページェント&チャペルコンサート」
イルミネーションは25日まで/コンサートは23日まで


◇12/9 「奈良マラソン」
※当日の交通規制はこちらを参照して下さい。
※コース周辺の路線バスには運休も生じます。詳細はこちら
2010年のブログ記事はこちら→

◇12/22 18:00~20:00「冬彩2012」
場所:香芝市今池親水公園
問合せ:香芝市役所(0745-76-2001)

◇12/29 4:00~ 「かぎろひを観る会」
場所:かぎろひの丘万葉公園
問合せ:0745-83-2251

2012年11月27日火曜日

映画「内部被ばくを生き抜く」*


鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画
「 内部被ばくを生き抜く」の自主上映会が奈良町でありました。

「内部被ばく」という言葉は知っていても
実際はほとんどよくわからないのに等しいので
勉強をするつもりで 上映会に参加しました。

映画は・・・
被ばくに関する医療活動を継続してきた4人の医師へのインタビューと、福島県二本松市で幼稚園を運営する僧侶一家の子供達を守るための取り組みを通して「内部被ばく」について掘り下げていきます。

トップの画像↑映画のチラシに登場するのが4人の医師たち。
左より・・・広島の被爆者を診察し続けてきた今年94歳のご自身も原爆で被爆されている肥田舜太郎医師、チェルノブイリやイラクで医療支援を続ける鎌田實医師(奈良倶楽部のコツコツ募金の支援先「日本チェルノブイリ連帯基金」の理事長でもあります)、福島で除染に取り組む児玉龍彦・東京大アイソトープ総合センター長、チェルノブイリの小児科医師スモルニコワ・バレンチナさん。

監督が信頼するに値する人たちとして登場する4人の医師たちの言葉には、それぞれハッと胸を打つ希望の言葉がありました。

肥田舜太郎医師が最後に伝えてらっしゃったのは
「食事に気をつけ、毎日の生活を健康に過ごすという意識を持って暮らしてほしい。どんな病気と闘うときも、結局はその人の生きるという力であり想いです。」と。

福島、チェルノブイリ、劣化ウラン弾の影響が残るイラクへの支援活動をされている鎌田實医師は
「1年に24日でも保養で線量の低い土地に行って汚染されていないものを食べて過ごすと身体は回復します。チェルノブイリ事故後の子ども達はそうやって生きています」と。

除染の専門家でもある児玉龍彦医師は
「日本や世界を変えていく舵取りはお母さん。"子どもを守る"というお母さんの強い気持ち、『お母ちゃん革命』こそが、やがては社会を変える力になるのだ」と。

チェルノブイリ原発から100キロほど離れたゴメリ州で小児科の臨床医師として、原発事故の影響を受けた子供達の治療をしてきたスモルニコワ・バレンチナ医師は、
「放射能に関して、日本人はあまりにも無知だ。楽観的に対処してはならない」と警鐘を鳴らされています。

これからも避けられない内部被ばくや放射能汚染の問題に
今後どう対処していけばよいのかという、4人の医師たちの声には
決して悲観しないで前向きに生きるというメッセージを感じました。

映画では、なぜ内部被ばくが癌や老化現象などを引き起こすのかについての分かりやすい解説もあり、大変勉強になりました。
(このような機会を設けて下さった方々に感謝です。)