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2012年2月19日日曜日

「やまとの地宝」展*奈良県立美術館



「奈良」をイメージする時、住んでいる場所柄もあるのですが、私の場合は「天平文化華やかし頃の奈良」の比重が大きくて仏教美術への興味は尽きないのですが、考古学的な「原始・古代の奈良」への興味は薄かったりします。

ところが、つい先日「唐古・鍵考古学ミュージアム」に行ってから、石器時代や縄文時代、そして弥生時代から古墳時代にかけての奈良について、具体的にイメージを膨らませることができるようになって、「古代の奈良」が俄然面白くなってきたのでした。

そんな私にとてもタイムリーな展覧会が・・・!
奈良県立美術館で開催中の「やまとの地宝」展では、すべて奈良県内の遺跡から出土したものばかりを展示して、古代奈良の歴史や文化の全容が体感できるようになっているのです。
遺跡から出土した膨大な量の遺物から、そこに息づいていた人々の営みを想像するのは楽しいですね。

気に入った展覧会を鑑賞するとテンションが高くなって
つい感動を熱心に伝えたくなるタイプなのですが
言葉で上手く表現できないところは「百聞は一見にしかず」で画像多用派になってしまいます。今回も展覧会場で購入した図録から写真を多用して、展覧会の様子を少し紹介させて下さい。

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歴史の時系列で見ていくと・・・
奈良には旧石器時代の石器(二上山麓で産出される讃岐岩で作られた香芝市・桜ヶ丘遺跡出土の石器)や、縄文時代の土器もたくさん出土しているのですね。

こちらは橿原市・観音寺本馬遺跡出土の縄文時代の土偶(重文)
目と口だけで表現されているけれど力強いものを感じます。

そして弥生時代。「唐古・鍵考古学ミュージアム」にもあった絵画土器と同じようなものが天理や橿原市の遺跡からも出土しています。
こちらは天理市・清水風遺跡から出土の鳥装の人物が描かれた土器。


これが今回是非見ておきたかった
「唐古・鍵考古学ミュージアム」から貸し出されている
翡翠製勾玉と褐鉄鉱容器。↓この勾玉は
弥生時代における最大・最良質級のものだそうです。


古墳時代の出土品も盛り沢山でした。

水晶でできた装身具や
埴輪も種類が多かったです。

三宅町石見遺跡から出土の椅子に座る男性埴輪↑や
大和高田市池田9号墳から出土の武人埴輪↓


こちらもお目当てでした。
藤ノ木古墳や黒塚古墳からの出土品の本物の数々を見たかったのです。

藤ノ木古墳(6C後半)から出土の金銅副葬品(国宝)や↑
(その他に復元品もたくさん展示されていて、藤ノ木古墳の副葬品の全容がある程度理解できます。)

34面の銅鏡が出土して注目された天理市黒塚古墳の
三角縁神獣鏡(重文)↓もたくさん展示されていて満足〜。


ちょっと面白いと思ったのが
葛城市の三ツ塚古墳群(7C末)から出土の漆塗り革袋。


それから、このガラス製品も。

橿原市の新沢千塚126号墳(5C中ば)から出土したガラス製の容器。
(展示品は複製品ですが原品は東京国立博物館にあって重要文化財)
中国からもたらされたペルシャ製品だそうですが
奈良時代の正倉院御物に通じていてとても興味深いです。
(朝鮮半島の亡命王族が被葬者という説もあるこの古墳からは、ガラス製容器や金製装身具など国際色豊かな副葬品が出土しているそうです。)

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ところで奈良県内には一体いくつの古墳があるのだろう?
一つの古墳から出土する遺物の数も相当数だし
その遺物が語る奈良の歴史もこれまた深くて興味が尽きない。
本当にその名の通り「やまとの地宝」だと思いました。
展覧会を見て、宝の山の奈良の地が少々誇らしく思えたのでした。

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「やまとの地宝」展は3/20まで。
展覧会の詳細はこちらでご覧下さい。→

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<<おまけの画像>>
県立美術館から歩いてすぐのところ。
以前「余茂宜」さんがあったお店が新しく開店するようです。