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2011年8月22日月曜日

「樂吉左衞門館」〜水辺のお茶室@佐川美術館


近ごろブログの更新が滞りがちな上に、もう2ヶ月も前に訪問したところの話題で恐縮ですが、今日のブログは、6月末に京都で「青木繁展」を観た後に足を延ばした佐川美術館に併設されている「樂吉左衞門館」のお茶室のお話です++

奈良情報からは少し脱線しますが
佐川美術館の中の「樂吉左衞門館」のお茶室が素晴らしかったので、もし車でご旅行の道中に立ち寄る機会があるようでしたら是非お奨めしたい所だと思います。
ただ、お茶室見学ができる曜日が決まっていることと、予約が必要なのでご注意下さい。



お茶室は「樂吉左衞門館」同様、樂氏自らが設計されたそうで
何ともアバンギャルドな印象なのですが
設計者の思想や哲学を見事に具象化した施工集団の技術力
というのもまた鑑賞していて感心することしきりでした。

とにかく既成概念の枠を超越した「お茶室」というか
「お茶室」の機能はすべて盛り込まれているのですが
「お茶室」という名を借りた究極の造形美空間と申しましょうか
非日常空間どころか「異空間」とさえ思える所でした。

写真撮影は禁じられていますので、いただいたパンフレットの写真で少し雰囲気をご覧下さい。

お茶室は、水没する小間と水の中に浮かぶ広間からなります。
広間の床の高さは水庭の水面と可能な限り同じレベルを保つように考えられて「水面と同じ高さに座す。人は自然と同じレベル、目線で生きていかなければならない」そういった思いが込められているのだそうです。



現代のお茶室は、壁はブラックコンクリートの打ち放し、臭いのないオーストラリア産の枕木やジンバブエ産の黒い大きな石、バリ島産の古材や日本の手漉き和紙など、異素材を巧みにアレンジして、贅を尽くした空間構成となっています。

引率の係の方に説明を受けながら見学していくのですが
この空間に哲学として徹底されているのが「守破離しゅはり」という千利休の言葉で「規矩作法、守りつくして 破るとも 離るるとても 本をわするな」という思想だそうです。

建築の専門的なことがわからなくても何だかすごいところだと、終始鳥肌を立てながらの見学。光の美しい今の季節にこそ是非訪れてみたいところです。

最後に個人的な感想ですが、どれもこれも素晴らしい芸術的なこのお茶室の中で、特に印象深かったのが、床の間の掛け軸でした。
鉛筆のドローイングを掛け軸に表装したもので、こういう使い方にハッとさせられたのです。
この鉛筆画はどなたの作品なんだろう・・・と見学の時に質問したのはいいのですが、その後お名前を失念。先月の上京時にお嫁ちゃんともこのドローイングがよかったねという話題で盛り上がりましたので、何としても作者名を知りたいと、その後、佐川美術館の招待券もいただいたY様にお尋ねしましたらエミコ・サワラギ・ギルバートさんという方だと教えていただきました。こんな風にアート好き同士が同じようなお気に入りポイントを話題にできる楽しみというのもまたいいものですね。




佐川美術館

滋賀県守山市水保町北川2891
TEL:077-585-7800 
開館時間:9時30分〜17時 (最終入館は16時30分迄)
休館日:毎週月曜日(祝日に当たる場合はその翌日)・年末年始
※展示替え等のため臨時休館する場合があります。

佐川美術館のサイトはこちら 
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