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2011年3月9日水曜日

二月堂修二会2011*「小観音後入」


3月7日 夜10時より深夜1時頃まで二月堂 西の局にて聴聞。
この日7日は夕方に、行の後半(下七日)の本尊となる小観音さんの
御厨子を礼堂に移して荘厳する「小観音出御しゅつぎょ」がある日です。

リピーターのお客様から「小観音出御はいいですよ」と何度も伺って
いつか行ってみたいと思いながら、夕方の一番大事な時間に奈良倶楽部を離れることができずに、昨年も肝心のところで後ろ髪引かれながら
二月堂から帰ったのでした。勿論今年もこの時間帯に出かけられません
でしたが、深夜には小観音さんの御厨子を礼堂から内陣正面へ移す
「小観音後入ごにゅう」がありますので、かなり遅い時間ですが
気合いを入れて出かけてみました。

「後入」は北か東の局で聴聞するのがいいと聞いていましたが
同行の方に「走りの行法」や「五体投地」をご覧いただきたかったのと
混雑している局や撮影許可を持ったカメラマンがいる局が嫌だったので
あえて西の局に入りました。    思っていた通り・・・
カメラマンが最後まで誰一人 入って来られませんでしたので
局の中の皆さんも本当に静かに「行」に心を合わせて
私も久しぶりに心ゆくまで静かに聴聞できました。有り難かったです。

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7日から2日後に記憶を頼りに書いていますが・・・。

二月堂に入ったのはちょうど初夜の咒師作法の頃。
5日に東の局の全く見えない所で聴聞していたのと違って
今回は西の局で戸帳越しに映し出される練行衆の揺らめく影を
追いながら、あらかじめ頭に入れた行法を、これがあれかと
思いめぐらしたり。でもそのうちに、観音さまを独特の節回しで称える「南無観自在・・南無観、南無観・・」の宝号を耳にすると、もう小難しいことなどどこかへ飛んで行って、身も心も気もちのいい時間がやってくる。耳の端には「だーっん」っと五体投地の音が響き聞こえて。

本手水の間に娑婆古練が礼堂に入ってこられる。
西の局の格子の前、礼堂に横一列にお座りになって
これから行なわれる「小観音後入」を見守られるのだ。

ほどなく半夜の勤行。
「走りの行法」の前に堂童子が戸帳を巧みに捲し上げると
燈明の灯りが黄金色に輝き、美しく炎が揺れうごく内陣の様子が目の前に現れる。
須弥壇の周りを行道する練行衆。最初はゆっくりと、そのうちに
差懸さしかけを一人また一人と脱ぎすてると、あっという間に行道のスピードが早くなっていく。袈裟をたぐり上げて走り出したかと思うと、次々に礼堂に飛び出し五体板に膝を打ち付けてはまた戻る。
途中、走り松明を須弥壇正面の床にたたきつけて火の粉を散らして火を消すところも目に焼き付ける。豪快な火の消し方だった。

小観音御厨子の前の壇供などが片付けられる。
(よく見える位置に座っていました)

今は「連れ五体」をされているのだとわかるくらい「ダーン」と練行衆が内陣の扉に身体を打ちつけている音が遠く内陣の向こうから聞こえてくる。ああ、すごい音だ。

娑婆古練の皆様が出仕されていた時間は1時間程だったでしょうか。局の格子越しに手の届く距離にいらっしゃいましたが、長老様方は皆さん姿勢が美しく、そして不思議に感じたのは皆さん「気」を消されているというか無味無臭、そこにいるかいないかわからないような超越した存在でいらっしゃいました。(あくまで私の感想)

「走りの行」が終わると、練行衆二人が香水杓を持ち回って
娑婆古練の方々、そして私達聴聞者にもお香水こうずいを手のひらに数滴垂らして下さいます。冷やっとするほどの冷たいお香水を飲み干し、手のひらに残った水分を頬にこすりつけたり・・・。

さて、いよいよ「小観音後入」が行なわれます。
小綱と堂童子が暁御輿松明を抱えて先導し、4人の練行衆に担がれた御厨子が外陣を巡って内陣 須弥壇正面に安置されます。途中、外陣北面で一旦停止して、大導師による祈りが捧げられます。西の局の端っこからは、よくは見えないけれど何とか雰囲気だけは感じられます。私の周りのほとんどの方は西の局をすばやく抜け出し、北か東の局に駆け出されたようですが。(一気に人がいなくなってびっくり。ついていけばよかったかな?)

座した場所からは小綱しょうこうさんの動きがよく見えて、今年初めて「小綱」役として臨む、初々しい姿に応援のエールを心の中で送ったり。

この後、娑婆古練の方々も退出されます。
私達もここで二月堂を後にしました。

毎晩の深夜に及ぶ厳しい行の一端を垣間見せていただいただけですが
やはり言葉では、一言では言い表せられない何か深いものが修二会にはあり、1260年一度も途切れることなく続く「不退の行法」の深遠な魔力に引き寄せられて祈りを捧げることができることの有り難さをしみじみと感じた夜でした。

トップの画像は小観音後入の際に使われた暁御輿松明。

この日も・・・

私達が帰る深夜1時頃には