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2010年11月3日水曜日

仏像写真ギャラリー飛鳥園で『最強のお守り』

正倉院展への道中、奈良国立博物館の北向かいにある
仏像写真ギャラリー「飛鳥園」でティータイムをしました。
「飛鳥園」は、写真家小川晴暘氏によって、仏像など文化財の撮影を
行うため大正11年に創業されました。
仏像写真ギャラリーは、創業以来88年間にわたって飛鳥園が撮り続けた仏像、寺社の建築、風景等の写真を一般公開するために2002年にオープンしたものです。

先日まで明日香の「奈良県立万葉文化館」で開催されていた
『写真家小川晴暘と奈良 飛鳥園のあゆみ』展を観ることが叶わなかったので、こちらのギャラリーでその美しい仏像写真を見せていただくことにしました。

きりっと凛々しい阿修羅像、たおやかな微笑みの中宮寺 菩薩半跏思惟像、何か超越した存在だといつも気づかされる法華堂 月光菩薩像。
ギャラリーの壁面に架けられた写真パネルなのに
その内面から発せられる崇高な精神性は何なんだろう。

そんなことを思いながら、ギャラリーの片隅をふと見ると・・・。

以前、こちらのギャラリーでの展覧会で見せていただいたことがある
古代の茜染めを再現された染色研究家 宮崎明子さんの茜染めのアクセサリーが置いてあって。そのアクセサリー、よく見ると何と鹿の角を茜で染められたものなのです。
8/18の奈良新聞に『鹿角、天平の茜に染まる〜「最強のお守り」発売へ』と題して紹介されていました。

宮崎さんは、古代の宮中儀式などを記録した平安時代の「延喜式」をもとに玄米の発酵液を使って茜の根から赤の色素を取り出し易くすることに成功。奈良時代の古代技法で、鮮やかな赤色に染まる茜染について研究されています。

大和郡山市のご自宅に150坪の茜を栽培され、天然の茜染めにこだわり、織機も、宗像大社様式の天秤腰機というように染めも織りも全て古代の様式を再現して仕上げられています。

2年前の展覧会では象牙を茜で染めたアクセサリーを出品されてましたが、鹿角を染めるのは初めてだそうで。薄く輪切りにして3回以上染め重ねられ、吸い込まれるような深い赤色に染まった鹿角。
角を提供した「奈良の鹿愛護会」によると「赤には魔よけの効果があるとされ、神鹿との組み合わせは最強のお守り」ということで。
本当に、見ていて元気の出るパワーのある茜色でした。