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2010年6月30日水曜日

7月のお出かけ情報

7月に行われる伝統行事や特別公開やイベント情報など
奈良への旅のご参考にどうぞ・・・☆

<<祈りの回廊〜秘宝秘仏特別開帳>>

◇7/1~7/15 9:00~16:00 
 信貴山朝護孫子寺「毘沙門天立像」奥秘仏特別開扉 
日本で最初に毘沙門天王が現れたといわれている信貴山。
12年に一度の寅年に奥秘仏「毘沙門天立像」が特別開帳されます。
問合せ:信貴山朝護孫子寺(tel:0745-72-2277 )

◇7/5 11:00頃~16:00 東大寺「俊乗堂」特別公開 
鎌倉時代に大仏殿などを復興した俊乗房重源上人のご命日に、
俊乗堂(元禄年間に公慶上人が重源上人の功を讃えるために建立)の
重源上人坐像(国宝)がこの日のみ入堂無料で公開されます。
また今年に限り7/31までの期間、法華堂拝観停止中の代わりに
俊乗堂が7:30~17:30の間、拝観料500円で拝観できます。
問合せ:東大寺(tel 0742-22-5511)

◇7/7 9:00~16:00 興福寺「三重塔内陣」特別公開  
興福寺の弁才天は、窪弁才天と称し、弘法大師が天川の弁才天を勧請したと伝えられる。
三重塔内に安置してあるこの窪弁才天像をお祭りするため、
一年に一度法要が営まれこの日に内陣が拝観できます。
興福寺といえば五重塔が有名ですが、三重塔も。
南円堂西側に建ってる現在の塔は、鎌倉時代初期の再建で
内陣四方の板には、薬師如来、釈迦如来、阿弥陀如来、弥勒如来が
それぞれ千体ずつ描かれています。
問合せ:興福寺(tel:0742-22-7755)

◇7/19~7/21 喜光寺「宇賀神王ご神体」特別公開  
夏の暁天講座期間中3日間公開されます。

◇〜8/31 室生寺「金堂外陣から特別拝観」
昨年6月に訪れた様子はこちらです→

◇〜10/31  薬師寺「東塔初層内陣」8:30~17:00(16:30)

◇〜11/15 西大寺「愛染堂客殿室内」8:30~16:30(16:00) 

<<伝統行事>>

◇7/1~8/31 おふさ観音 「風鈴まつり」
問合せ:おふさ観音(tel 0744-22-2212)

◇7/3 信貴山朝護孫子寺 「毘沙門天王御出現大祭」

◇7/5 10:30~ 龍田大社「風鎮大祭(ふうちんたいさい)」
1300年の歴史を誇る祭りで、暴風洪水がおこらないようにとの祈願を
込めて行われます。午前中に祭典を行い、
午後からは様々な神賑行事(かみにぎわい)が行われます。
最後は迫力ある風神花火で締めくくられます。(風神花火は21:00頃~ )
問合せ:龍田大社(tel 0745-73-1138 )

◇7/7 法隆寺「弁天会」

◇7/7 10:00~12:00 「奥田の蓮とり行事 」 
大和高田市大字奥田には、この日朝暁から多くの修験者が訪れ
捨篠池(すてしのいけ)では蓮とり船も出て蓮切りが行われます。
ここは、役小角の母、刀良売(とらめ)が住んでいたところです。
役小角が産湯をつかったところともいわれる弁天神社の周囲の蓮池から清浄な蓮の花を特別に集め、蔵王権現にお供えします。
蓮切りが終わると、修験者達は、町内の行者堂、刀良売の墓、弁天神社などに蓮華を献じ、
古式にのっとり採燈大護摩供を行ったのち、吉野山へ向かって出発します。

場所 : 大和高田市大字奥田
交通 :近鉄大和高田駅下車、無料臨時バス運行
問合わせ:大和高田市文化振興課(tel 0745-53-8200)

◇7/7 13:00~18:00 金峯山寺蔵王堂「蓮華会・蛙飛び 」
※蛙飛び行事は16:00頃
大和高田市奥田・弁天池の蓮の花を蔵王権現に供える法会。
問合せ:金峯山寺蔵王堂(tel 07463-2-8371)

◇7/16 20:00頃 鴨都波神社 夏祭り「すすき提灯献灯参拝行事」

◇7/16 10:00~ 白毫寺「えんまもうで 」  
閻魔王の縁日に無病息災を祈る行事。
ご住職直筆のうちわが配られる。(無くなれば終了)
拝観料:400円
問合せ:白毫寺(tel 0742-26-3392 )

◇7/17  法華寺「蓮華会式(れんげえしき)」  
本尊十一面観音を供養し、夏の疾病の厄除け祈願をする法要。
昨年7月に訪れた様子はこちらです→
法要が厳修される時間ですが、昨年は19:00からでした。
例年は17:00からですが今年の時間はまだHPに記載されていません。
行かれる方は直接法華寺までお問合わせ下さい。
問合せ:法華寺(tel 0742-33-2261)

◇7/17 10:00~ 天河大辨財天社「例大祭」    
11:00~採燈護摩 13:00~能舞台において能楽を奉納
問合わせ:天河大辨財天社(tel:0747-63-0558 )

◇7/19、7/20、7/21 喜光寺「暁天講座」 
問合せ:喜光寺(tel 0742-45-4630)

◇7/23 9:00~16:00  伝香寺地蔵会 着せ替法要」  
裸のお地蔵さんとして知られる秘仏地蔵菩薩立像が特別開扉。
衣の着せ替えは何よりの供えとして
興福寺の妙法尼が母の菩提を弔うため1228年より始められた。
※通常は事前連絡をしての拝観だが、
7/23と3/12のみ特別開扉のため事前連絡不要で拝観できる。
問合せ:伝香寺(tel 0742-22-1120)

◇7/23,7/24 19:00~ 帯解寺「子安地蔵会」  
安産祈願のお寺として知られる。
本尊の子安地蔵は鎌倉時代の寄木造。(重要文化財)
問合せ:帯解寺(tel 0742-61-3861)

◇7/23 17:00~21:00 福智院「地蔵盆夏祭り
問合せ:福智院(tel 0742-22-1358)
昨年7月に訪れた様子はこちらです→

◇7/23 18:00~20:00 十輪院「地蔵盆
問合せ:十輪院(tel 0742-26-6635)

◇7/23 14:00~ 當麻寺「蓮華法会と写仏会 」
中将姫が當麻曼荼羅を織り上げた日に因み、曼荼羅完成を祝う行事。
中之坊写仏道場の當麻曼荼羅の前で、伝統の法会が営まれます。
美しい絵天井の下で、蓮華法会のゆるやかな声明・読経の声を聞きながら
「写仏」をすることができます。
写仏の参加費
・初めての方:2000円+拝観料500円<写仏筆・写仏用紙・記念色紙つき>。
・2回目以降の方:1000円<拝観料込・練習用紙つき>(用具、用紙は前回使用のものを持参)
問合せ:當麻寺中之坊(tel 0745-48-2001)

◇7/24 8:00~ 東大寺知足院「地蔵菩薩像 」
毎年7/24の朝に一般公開されるのみ。
8:00から1時間程の法要の後にお参りさせていただけます。
昨年の様子はこちら→

◇7/24 18:00~ 法隆寺東院地蔵会「伝法堂特別開扉 」
問合せ:法隆寺(tel 0745-75-2555)

◇7/28 東大寺「解除会(げじょえ)」 
大仏様の前に茅草で作った約2mもの茅の輪が設けられ
東大寺の僧侶がこれをくぐって 
盧舎那仏に夏越しを祈る法要が行われる。
法要は8:00~9:00  茅の輪くぐりは8:00~15:00
拝観料:500円

◇7/28 畝傍山口神社「でんそそ祭」
問合せ:畝傍山口神社(tel 0744-22-4960)

イベントなどのご案内はまた後日に**
トップの画像は柳生円成寺の蓮(昨年7月撮影)

「現代中国の美術」展〜その2〜

〜その1〜からの続きです。

「現代中国の美術」展*鑑賞レポ
会場内や作品の写真撮影は主催者の許可を得ています。

奈良県立美術館の展示室が7室に独立しているのを生かして
各展示室別にテーマを決めて作品展示されています。
テーマ別の絵画を通して現代中国を知る手立てになります。

まず1階の最初の展示室のテーマは「チャイナドリームの実現」
地方から出て来た若夫婦や人夫を描いたもの
地方都市の様子などを表現した作品が多いです。

第2室はこの立体作品のみ。
彫刻部門で日中友好会館大賞を受賞した「ハイチーズ!」です。
総量650kgの合成樹脂と鉄の大作。
家族3世代が集合した等身大の作品に込められたコンセプトって
どのようなものなんだろう。色々想像できる作品です。
ちなみに作者は弱冠28歳。

第3室は他民族国家中国を表現した作品群です。
中国画というジャンルのこの作品。↑
少数民族の衣装が淡いパステルカラーで表現されていて
色調のセンスが好きな作品です。
中国画というのは、日本画とよく似た印象です。

↑こちらはウイグル自治区の作家さんの「投票の後」
 また、8mを越す大きな作品も↓(館長さんに説明を受ける5*SEASONさん)

次に2階に進みますと、今までとは違った印象の絵画が並んでいます。
この写真に写っている4作品はどれも中国画で、左から3点は
1970年代生まれの作家による、今の若者風俗を表現したもの。
一番右の作品は1952年生まれの女性作家による「中国の記憶」
この作家は5年前の展覧会で大賞を取った作家だそうで
「書」の力量もある方です。(作品の右端に注目!)

中国画に関して、最後の展示室では
伝統的な中国画と現代的な中国画という対比で見せています。
 日本画の花鳥画にも通ずる伝統的な作品↑もあれば
このような現代的な中国画もあり。↓


水墨画も中国画の一つだそうで、この作品「曇りのち晴れ」↑は
ビルに映ったビルを表現したもの。表現対象の着眼点が面白い。

水墨画といえば、このような力作多し。かっこいいです。
その他の展示室のテーマは、建国を讃えるテーマの作品や
大自然がテーマの作品など。
特に自然がテーマの作品は水彩画で描かれているものが多く
そのレベルの高さにもびっくりです。
ところで、この二つの作品↓
どちらが水彩でどちらが油彩か違いがわかりますか?(右が水彩)
中国の水彩画、力強いですよ。

また今回初めて「漆画」というジャンルを知りました。
漆を下地に塗ったものの上に絵を描いているようですが
上に描いている画材は何なんだろう?ここにも漆が使われているような。
とにかく説明が欲しい。漆画の作家は漆芸作家としても独り立ちできる技量の持ち主だそうですよ。

こちらは平面画部門で日中友好会館大賞を受賞した「静寂の故郷」↓
四川大地震が起こった時の時刻のままの時計。瓦礫・・・
社会的なメッセージ性を持つ題材。作家の職業は建築工学の大学教授。
仕事柄現場にも行かれて題材に選ばれたのでしょうね・・・。

急速な経済発展と社会変動。今現在の中国の息吹が伝わってくる作品群。
この5年後に行われる公募展ではどのような作品が集まってくるのだろう。

アートにスポットを当てて見た中国も面白い。
是非是非ご鑑賞下さい!

::

最後に美術館への注文を一つ。

私はたまたま今回の鑑賞で館長さん直々に解説を聞く事ができました。
聞けば成る程、面白くてより一層興味も出てきます。

展覧会場でいただける小冊子には、全体像でまとめた解説が
書かれているだけで、作品一つ一つの背景がわかりづらいです。

作品のそばにこのような解説が書かれたキャプションボードがあれば
より一層楽しめると思うのですが、今回そのように提案しても
予算の都合上で切り捨てられてられてしまいました。

学芸員の方が一日に何度か解説ツアーを行うとか
キャプションボードを作るのもそれほど経費がかかるとも思えません。
お金をかけずに色々できることいっぱいあると思うのですが・・。

小冊子には、作家の年齢や職業まで書かれていましたが
作品の題名ボードにも記入されていたらよりよかったと思います。

::

「現代中国の美術」展

会場:奈良県立美術館
会期:7/4(日)まで。
開館時間:9:00〜17:00 ※金曜日土曜日は21:00まで延長。
入館は閉館時間の30分前まで。
住所:奈良市登大路町10-6
TEL:0742-23-3968
会期中のイベント:7/4(日)13:30「二胡演奏会」
入館料:大人800円 大・高生500円 中・小生300円
    ※割り引きチケットはこちらからプリントして

この展覧会はこの後、福岡アジア美術館、富山県立近代美術館、
東京・日中友好会館に巡回予定です。

※会場内や作品の写真撮影は主催者の許可を得ています。 

追記:5*SEASONさんのブログでも展覧会の様子がご覧いただけます。

2010年6月29日火曜日

「現代中国の美術」展〜その1〜

奈良県立美術館で開催中の「現代中国の美術」展に行ってきました。


中国第11回「全国美術展」受賞優秀作品により構成された展覧会。
現代中国の美術作品を一堂に鑑賞するのは 初めてです。
チラシの写真の作品がアクが強くて好みではなかったので
ちょっと敬遠していたのですが、とんでもなく内容が面白いよという噂も聞いて、会期終了間際に大慌てで行ってきました。

まず今回の展覧会の概要をチラシより抜粋してみます。

5年に1度開催される中国政府主催の美術展「全国美術展」は
最も権威ある登竜門として中国国内から数万点の応募があり
その規模と内容そして水準の高さは中国随一といっても過言ではありません。
各地の部門ごとの展覧会で受賞作を決定した後、
北京の中国美術館で約500点が受賞作品展として一堂に会し、 
その後さらに厳選された作品86点が「現代中国の美術」展として
韓国、日本等で紹介されています。(展覧会チラシより)


政府主催の展覧会である以上、体制批判の前衛アートは見当たらず
社会的現象を表現したアカデミックリアリズムなものがほとんど。
ただ、現代中国の社会風俗などほとんど知らないので
そういう目線では、表現されているものほとんどが興味深く感じる。
作品に背景など説明があれば尚一層の興味を持って鑑賞できるのだけど。

でも、展覧会のコンセプトや作品の好みなどは別にして
一点一点の作品の力量は、それはすごいものがあって
さすがは最も権威ある登竜門、数万点の中から選ばれただけはあります。

さて、今回は会場でイラストレーターの5*SEASONさんと ばったり
お会いしました。なんでも展覧会の様子をツイッターで
Ustream動画中継して、より多くの方に来場してもらうように
勝手に応援団を一人で結成されたのだとか。
会期も今週末まで後5日間。展覧会の内容が充実しているだけに
あまりの来場者数の少なさに 何とかしたいと思われたのです。えらい!


ひょんなことから私も一緒に腕章を付け
写真撮影をさせていただけることになりました。

拙い鑑賞レポになるかもしれませんが
一人でも多くの方が来場して下されば嬉しいかぎりです。
鑑賞レポは〜その2〜に続きますのでよろしくお願いします。
 
奈良県立美術館は金曜と土曜は夜9時まで開館しています。
また最終日7月4日には「二胡演奏会」も開催されますよ!
(13:30より)
 

2010年6月28日月曜日

東大寺で写経・写仏体験*


今日は、真夏のような一日でしたね。

東大寺境内にある写経道場。
本日は、朝から東大寺で写経・写仏体験をさせていただき
うだるような暑さを忘れるくらい集中した時間を
しばし過ごさせていただきました。

誘って下さったのは何度も写経経験のあるこの方
そして今日は珍しく夫も一緒に参加です。・・・と言いますのも
夫はこの3ヶ月、毎日般若心経を書き写すことを続けていて
今では見ないで全文を書くことができるのです。

東大寺で写経・写仏したものは、毎年8/7に
大仏さまの胎内に納めて心願成就を祈念していただけるので
毎日続けていた事を、一度きちんと書いて奉納したいと
そんな思いで参加したのでした。

私は、一度高野山の宿坊で写経の体験があるだけなのですが
字を書くより絵心がある方なので、今日は写仏を申し込みました。

墨を心静かに摺って、雑念を払い集中して臨みます。

・・・といいながらも
途中で何度か写真を撮る私。(すみません)
絵を描きながら楽しくて、ついお喋りもしてしまった。
隣で集中している二人に無視されましたけど・・。

写仏には「華厳五十五所絵巻の如来」「華厳五十五所絵巻の善財童子」
「盧舎那仏蓮弁線刻画雲中化仏
」の3種類のお手本と用紙があり
(お手本はそのまま色紙額入れてに飾れるようになってます)
お手本の上に用紙を重ねて墨で線を描いていきます。

最初に書き写した如来さま。↑
要領がわからず、ただ線書きをなぞっているだけでしたが
2枚目の善財童子↓になると、ちょっと伸びやかに書けてきます。

筆の運びも全体像を掴んでから、写すではなく描くようにと
考えながら進めていきました。

3枚の線書きを終えて、貸し出しの絵の具で彩色していきます。
白色絵具が固まって使えなかったので少々不本意な色合いですが。

途中でお隣の二人の様子も写真に収めたりと
二人の心の中では相当な顰蹙を買っていたでしょう。
落ち着きがないように見える私ですが、やる時にはやるのです。
仏さまを無心に書いていると気持ちも落ち着くものですね。

かなりの集中力を発揮して3枚の写仏をすることができました。
用紙の余白の部分には祈願文を書き入れて諸々のお願いもしました。

では、写経をされた二人の様子をご紹介しましょう。
こちらは「華嚴唯心偈」(百字心経)を写経したもの。
さすがに美しいですね。


夫は「般若心経」を・・・
お手本の上に用紙を置いて写すのでなく、お手本を見ながら書いています。

一行十七文字に書き上げたもの。↓
慣れているだけあって、リズミカルな仕上がりですね。

3人がそれぞれの思いを込めて書いたひととき。
なかなか味わい深いものがあり、いい体験になりました。

東大寺で写経を希望される場合は
お電話(TEL:0742-22-5511)でお問合せ下さい。
(法要・行事等で使用できない場合もありますので)
詳しくは、東大寺HPのこちらをご覧下さい。


写経1500円(所要時間およそ1.5〜2時間)
写仏3000円(所要時間およそ2〜3時間)←集中したので1時間半で出来上がり


さて、ちょうどお昼時。
奈良公園を抜けて急いだ先は・・・(続く)

2010年6月27日日曜日

「祈りの回廊〜矢田寺・東明寺の秘仏公開」

先日に書いた「松尾寺の役行者像特別開帳」の記事の続きです。
「松尾寺」の前に訪れました「矢田寺」と「東明寺」について++



矢田寺の正式名称は「金剛山寺」、天武天皇の勅願により開基され
「十一面観音立像」「吉祥天立像」を安置したのが始まりです。
平安時代初めに地蔵菩薩が安置されて以来は地蔵信仰の中心として栄え
以降は、ご本尊も「地蔵菩薩立像」となりました。

「矢田寺」の名前で親しまれるようになったのは
斑鳩の里に連なる矢田丘陵にあることから。すでに奈良朝の頃には
「矢田寺」という名称が使われていたということです。

今回の特別拝観では、普段は立ち入ることの出来ない
本堂の内陣奥まで入ることができます。
ご本尊「地蔵菩薩立像」や脇侍「十一面観音立像」「吉祥天立像」を
正面から、のぞき込むように拝顔させていただけますし、
普段非公開の 内陣の裏に祀られている「試地蔵菩薩立像」や
阿弥陀如来坐像も拝観でき、また今回の特別拝観に合わせて作られた
「矢田地蔵縁起」のレプリカも初公開されています。

本堂の内陣奥に入れることは、もうあまり機会がないのではと
思われますが、特別拝観料500円を別途払って、中まで入られる方は
あの「あじさい園」に200人以上の人がいたと思うのに、なんと
私達を入れてたったの4人という・・・。あまりの落差に勿体無いと
歯がゆい思いをしながら、ほとんど独占状態の内陣で
ゆっくり寛ぎながら、ボランティアガイドの方の
丁寧な説明に耳を傾け、ゆっくりとお参りさせていただきました。

このような気持ちのいいお参りができましたのも
ボランティアの方の大変詳しい説明がよかったことや
お寺の方達が親しみのある接客態度でご案内して下さるなど
いろんなことが相乗的に起こったからで
モノ(秘仏)だけではなく、人というか、おもてなしの心も
寺院の中であっても大事なことだとしみじみと思いました。

::

次に訪れた「東明寺」は
天武天皇の第三王子で「日本書紀」の撰者として名高い舎人親王の
開創といわれるお寺です。
ご本尊「薬師如来坐像」の板光背の表面には
墨で美しい唐草文様が描かれていたそうですが、今は残念ながら
肉眼ではわからず赤外線写真でしか見ることができません。

「雷様のヘソ」という寺宝と、お寺に伝わるへそ伝説も残されていて
なんでも東明寺の谷間には雷が絶対落ちないそうで
カミナリ除けとしてこちらのお守りの効力は効き目抜群だとか。

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「秘宝秘仏公開」は矢田寺、東明寺とも6月いっぱいまでです。
(東明寺は、6/28の公開はされていません。)
拝観時間や行き方などの詳細はそれぞれ下記サイトでご確認下さい。
矢田寺の詳細→
東明寺の詳細→

::

矢田寺で一緒にガイドさんの説明を聞いていた女性の方と
その後に訪ねた松尾寺の石段で偶然お会いしました。
少し立ち話をして、お聞きしたところによりますと
横浜から朝一番の新幹線で来て「東明寺・矢田寺・松尾寺」を
日帰りで廻って拝観されるのだとか。
特別公開される「祈りの回廊」の秘仏拝観を楽しみにして
毎月、奈良にお越しいただいているというお話をうかがって
本当に有り難いことと思いました。
もう少し親しくお喋りをしましたら・・・なんと!
「まほろば・・・つれづれ日記」や「奈良倶楽部通信」を
参考にしていますということで。嬉しいような照れくさいような
「実は私達本人です」と思わず告白してしまいましたが
その後の3人のリアクションはご想像におまかせします^^
Mさま、お会い出来て嬉しかったです。
どうもありがとうございました。

2010年6月26日土曜日

奈良少年刑務所詩集「空が青いから白をえらんだのです」

注文していた詩集が届いたので早速読んでみた。


奈良少年刑務所の更生教育である「社会性涵養プログラム」から生まれた作品を中心に編まれた詩集で、作者は受刑者たち。
編者は、このプログラムの「童話と詩」担当講師の寮美千子さん

詩などほとんど書いたことがない受刑者の綴る言葉は
それだからこそ、作為的でなく純真無垢な宝石のようで
純粋でやわらかな心がそこから垣間見えます。

彼らが詩という形で表現した感情を受け止め育て伸ばしていく。
決して一方的な指導、与えるだけの教育ではない授業の様子が
巻末に詳しく書かれていて、ここを読んだだけでも感動するし
一般の学校教育もこういう風な授業があればいいのにと思うくらい
魅力的なプログラムです。

奈良少年刑務所は奈良倶楽部から徒歩15分位の所にあって
明治時代に建てられた赤煉瓦のりっぱな洋風建築の刑務所です。
この建物が近い将来に取り壊されるということなのだそうですが
「取り壊し」だけは何とか阻止したいと思っている私。
先日の写真展で拝見した、建物内部の美しい写真が
詩集の中にはたくさん掲載されています。
素直に表現された言葉の数々とともに
是非見て読んでほしい一冊です。

奈良倶楽部の図書室にも置いていますのでどうぞご覧下さい。

2010年6月25日金曜日

大門市場は今・・・*

すっかり更地になってしまって・・・
鹿の管理人さんがしっかりと見回ってましたよ。
さて、ここは一体どのようになるのかしらね?

::

「奈良倶楽部通信」内、大門市場関連記事はこちら→

2010年6月24日木曜日

「祈りの回廊〜松尾寺の役行者像特別開帳」






昨日、特別開帳で見せてもらった松尾寺の役行者さん。
鳥肌が立つとはこういうことかと思ったくらい
武者震いするというか、魂をぎゅっと鷲掴みにされるというか。
上手い言葉が見つからないけれど、久方ぶりの感動でした。
一緒に行った相方さんも全く同じ反応で、二人して
「すごい!すごい!これはすごーい!」という言葉ばかり口に出て。

実は正直、矢田寺・東明寺・松尾寺の三寺巡りの
秘宝秘仏特別開帳の期待度が、自分の中ではそれほど高くなく、
訪ねたことがない東明寺というお寺に、この機会に行ってみようとか
矢田寺の紫陽花が楽しみ〜とか、その程度の気持ちだったのです。

そして最後に訪れた松尾寺も、役行者像はあちこちのお寺で見ているし
国宝でも重文でもなく「大和郡山市指定文化財」だし・・・。
矢田寺と東明寺の後に大和民俗博物館にも立ち寄ったので
疲れちゃったしパスしてお茶でもと思ったくらい。(相方さんも同感だった)
一人だったらきっとパスしていたかもしれないけれど
二人で励まし合って「せっかくだから行きましょう」と。
でも行ってよかった。見ることができて本当によかったです。

その大感激の役行者像の画像は こちらに載っていますが
とにかく大きいのです。他のお寺で見かける役行者像は小ぶりですが
こちらは像高130.3cmとあります。像の回りもいれると2m近い。
役行者の木像としては日本一の大きさだそうです。

頭巾をかぶり肩に簑を着け高下駄を履いて岩座に腰掛ける。
杉材の木目の粗い寄木造り。木造彩色。室町時代の作。(資料 より)
像の回りの化仏じゃないけど、そういうのの色鮮やかな彩色は
30年前に一度彩色し直されたものだそうです。

毎年9/1~9/7の「松尾寺修験道まつり」の期間中は
堂内から拝観できるので、またもう一度訪れてみたいと思います。

::

大興奮の拝観の後、一日以上経ってクールダウンして
具体的に何がよかったのかを考えてみた。

ご存知のように私は仏像マニアでもオタクでも仏像好きでもない。
ただ単に素晴らしいものを見るのが大好きなだけ。

像を造った当時は勿論、その像が守り伝え続けてこられたのは
人々の祈りや願いや尊敬や諸々の目に見えない気持ちが
そこに昇華していて、結果として形ある像があるのではないかと
いつも思うのです。芸術と言われる作品にはそういう魂がこもっていて
その昇華したエッセンスが見る人の心を打つのではないでしょうか。
数々の仏像しかり。唐招提寺の鑑真和上像にも東大寺の重源上人像にも
造られた背景、造ろうとした人々の気持ち、
それを大事に護り伝えて来た人々の気持ちが
そこに刻印として残っているように感じます。
この役行者像にも同じようなものを感じましたが、それ以上に
この行者さんの慈悲深いまなざしを見ていると、不思議ですが
何でも包み込んでくれるような大らかな温かさも感じるのです。

帰宅してから昨日会った奈良好きさんや宿泊のお客様にも勧めまくり。
皆さん行って下さったかなぁ。どんな風に感じられたかなぁ。
たまたま拝観したお堂には私達だけで、静かにお参りできたことや
お寺の方がとても丁寧に説明して下さったりと、同じものを見ていても
その時のタイミングでまた感想も違ってくるでしょう。

::

でも今回の秘仏特別開帳巡りで「祈りの回廊」という言葉の意味を
しみじみとかみしめることができました。

今年、奈良県では、一年を通して、平城遷都1300年を記念した
『祈りの回廊〜奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳』が開催され
中々拝観できないような秘宝秘仏が特別に公開されています。

その総称として「祈りの回廊」という名前がついているのですが
あまりに直球すぎて最初は気恥ずかしい言葉だと思ってました。
(かくいう私自身も情緒的な表現をよくするので気恥ずかしいと
自分でも思う時があるのですが、それはさておき。)

矢田寺の地蔵菩薩立像も、自然と手を合わせて祈願してしまう、
素直になれる不思議さを持っているお地蔵さんだったし
役行者さんもしかり。
秘宝秘仏というのを「めったに見られないものが今だけ特別公開」的に
捉えていたのでしたが、そうじゃない。
この「祈りの回廊」の奥深さ、底力、本物の凄さというものを
今日つくづく理解できたのは一つの収穫だったかもしれません。

長々と書きましたが、矢田寺の紫陽花も今月中はまだ充分楽しめます。
6月中までなので、是非「矢田寺、東明寺、松尾寺」と
「祈りの回廊」を楽しんで下さい。詳細はこちらで。
また松尾寺の公式ホームページはこちらです。

ちなみに松尾寺は日本最古の厄除霊場。
夫42歳本厄の厄除はこちらでした。(慈眼寺と2カ所でだけど)

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矢田寺、東明寺の特別開帳については後日に続きます。

2010年6月23日水曜日

矢田寺の紫陽花*ちょうど見頃

6月の「祈りの回廊」は矢田寺、東明寺、松尾寺での特別開扉です。
今日はその三寺を廻って来たのですが、まずは
あじさい寺として名高い矢田寺の紫陽花の様子から・・・。

ちょうど見頃を迎えた紫陽花の花。
今日は降ったり止んだりの小雨模様のお天気でしたが
滴る雫に紫陽花が色鮮やかに映って、まさしく雨に似合う花。
雨の日こその風情を楽しんだ一日でした。

境内の「あじさい園」には8000株、60種類の紫陽花が植えられています。まずは少し珍しい紫陽花を・・・。
三原八重↓

八重ガクアジサイ↓

美方八重↓

舞子アジサイ↓



蔓アジサイ↓ 蔓になった紫陽花があるなんて!

城ヶ崎↓

ここら辺からは名前を控えなかったので品種名がわかりませんが。



2色使いの色合いが清楚で小ぶりなお花です。





山紫陽花↓

「あじさい園」の通路の両側には、隙間なくびっしりと紫陽花。
迫ってくるようなボリューム感に圧倒されそうです。





ヤマボウシもちょうど見頃↓

お地蔵さんの赤い前掛けにも映えるね。

柏葉アジサイと本堂。

色とりどりの紫陽花、見応えありました♪


「矢田寺」

 「あじさい園」の開園期間:6/1〜7/10 8:30~17:00
入山料: あじさいの時期 大人400円・小人200円(通常は無料)
住所:奈良県大和郡山市矢田町3549
TEL :0743-53-1445
駐車場:民間有料駐車場有
公共交通機関:紫陽花の時期のみ近鉄郡山駅から臨時バス運行